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『SDGs』について ~飢餓とフードロス~

 

田植え

筆者が小学生のころ、わが小学校の周りは田んぼに囲まれておりました。秋になると稲わらを燃やす匂いが漂い、その匂いはあらゆる香りの中でも筆者お最も好きなものの一つでした。今でもその季節にその匂いを嗅ぐと例外なく小学生だったころの事がただちにフラッシュバックされ、ノスタルジックな気持ちを誘います。他にも、漬物の匂いを嗅ぐとかつて地元の商店街にあった漬物屋さんのおかみさんを思い出し、また5月新緑の季節になると、高校生のころ通う高校へ毎日自転車で長い長い坂道を駆け上がった雑木林の風景が呼び起こされます。こういった事がおそらくは他人と比べて多くあり、またフラッシュバックした時の印象や風景が鮮明に強く残っております。この現象が起きるたび、周りの人にこんな事よくあるよね?と聞いていましたが、皆はそんなに頻繁にはなかったようでした。

ところで「失われた時を求めて」という、フランスの文豪プルーストが書いた世界的な傑作小説があります。

大学生のころ読み始めたものの途中で挫折したのを覚えておりますが、それもそのはずでこの小説、ギネスで「世界最長の小説」に認定されている小説であります。お話の中に、主人公がマドレーヌを浸した紅茶の香りから幼いころの記憶が鮮やかにフラッシュバックされる、という有名な描写があります。

この小説から、香りから古い記憶がフラッシュバックする現象を「プルースト効果」と呼ばれております。

人間の五感の中で唯一嗅覚の情報だけが脳の中の記憶を司る部分である、海馬へ直接送られます。さらに海馬のある大脳辺縁系には、記憶を司るほかに本能や感情を司る部分でもあるため、匂いの情報はただちに記憶と感情を伴った反応として呼び起こされます。

お話が逸れてしまいましたが、筆者の地元では少し前から田植えのシーズンに入っております。昔よりも農家の方が減り住宅が建っている土地も増えましたが、今でも小学校の周りには田んぼが残っております。

先日、子どもが授業で田植えをすると聞きました。筆者が小学生時分も行いましたが、今でもまだ近所の農家の方にご協力をいただいて児童たちに田植えの体験をさせて頂いている事を大変嬉しく思いました。

機械が無かった時代の農機具である千歯こき、足踏み脱穀機などの体験もできるとの事でした。

食と生活が密接につながる体験を普段の授業でできるというのは、改めて贅沢な体験だなと感じます。

 

食と生活

さて「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」の17個の目標のうち、ほぼ全てに関わっているといっても過言ではないものが「食」に関する目標です。「貧困をなくそう」、「飢餓をゼロに」、「すべての人に健康と福祉を」といった目標がまず掲げられますがこれらはまさに食に関する提言です。

昨今の日本では、まだ十分に食べられる食べ物が捨てられてしまう「フードロス」という問題を社会全体で考えようと大きな流れになっております。日本人は平均して、1日に一人当たり1つ分のおにぎりをロスしています。年間ではおよそ600万トンを越える量です。

そしてWFP(国連世界食糧計画)が、世界中で飢餓に苦しむ人々へ援助している年間の量は約380万トンです。この事実だけでも驚きです。

この問題に対し、どう取り組むのか?はもちろん最終的には重要なことになります。ただそれ以前にこの事実を老若男女すべての人々に伝えることで、一人ひとりの意識は変わっていくものだと思います。

特にこれからの時代を担う若い世代に向けて発信していくことが肝要です。これからの時代を「持続可能」な世界にするためには、小さなこと、例えば日々の食生活をみんなが改めて振り返ることから始める事です。

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